12月18日(日)に行われたUFC on FOX 22「ヴァンザント VS ウォーターソン」大会の感想です。
ペイジ・ヴァンザント 第13試合 ミシェル・ウォーターソン Win
今日のウォータソンのメインウェポンは右のサイドキック。ヴァンザントが入っていくとウォーターソンは前の手の右で応戦。クリンチは両者膝を交換するが、ウォーターソンが首投げ。サイドつくウォーターソンをヴァンザントがリバースすると、合わせてヴァンザントのバックへ着く。首を取るとタイトに締めあげるウォーターソン、極まっているように見える。酸素が足りないであろうヴァンザントの顔がみるみる青くなっていく。チアノーゼを起こしながら、右手でどうにかウォータソンの手を振りほどかんともがくヴァンザント。ここから逃げられるとは考えられないが。。。
ヴァンザントの表情が弛緩し、両手が力なくグラウンドへ落ちるとレフェリーがヴァンザントを保護。
素晴らしいパフォーマンスを見せたウォータソン、組みつくまでのプランが非常に良かった。インサイドとアウトサイドを右ジャブと右サイドキックだけで追いやり、ヴァンザントにクリンチで多少展開を作ろうとさせるのが狙いだろうか。クリンチからテイクダウン以降の展開は流れるようでチャンスを逃さずきっちり極めきる。満点だと思う。今日の課題はあのサイドキックを打ち破ってインサイドで殴れる選手がいた場合、あとは首相撲でちょっと被弾していた点だろうか。
またヴァンザントの負け方。ツイートもしたが、タップをしないことが良いことだとは思わない。ただ、真っ青な顔のまま、意識がなくなる瞬間まで勝とうとしていたヴァンザントの闘志に感動した。見習いたいと思う。試合前に楽しそうに踊っていても、ある意味死をも覚悟しないとこれって本当にできないことだと思う。片手で相手を二回叩けば楽になる、それを制御する意思、覚悟、勝とうという信念。
本大会は前評判よりよっぽど素晴らしい興業だったと思う。
Win ミッキー・ガル 第12試合 セージ・ノースカット
お見合いからガルが組みついていく。セージはクリンチから殴りつけるが、ガルは構わずテイクダウン。ケージレスリングも悪くないガル。ボトムに敷かれるノースカットだが、表情は落ち着いている、もがくわけでもない。ガルは仕掛けようにもサブミッションディフェンスはノースカット悪くない。フロントチョークも落ち着いて耐え外すが、ノースカットはトップから攻められない。ブレイクしたスタンディングでも、打撃を見せる暇なくキックをキャッチされてシングルでテイクダウンされてしまうノースカット。今度はグラウンドトップからガルがパウンド。
左右に動くノースカット、ガルをかわしさっと右フック。コンパクトで素晴らしい、少なくとも力任せのファイトではなくなった。ノースカットが打撃で押し始めたところ、ガルはノースカットの右腕を脇でかため、時計回りに振ると大きな右フック。ノースカットは自身も左へサイドステップしながら左フックを出していたが、このガルの右フックがテンプルに直撃。ノースカットはすぐに立ち上がるがガルの追撃にたまらずタックル。ここら辺は経験不足か。ガルはきっちりスプロールし、バックへ。そのままコントロールしチョークすると、ノースカットはあえなくタップ。
うーん。。。ガルは勝てるプランがありそうな相手を選んできっちり倒した感じかな。ダン・ハーディの名前やライト級転向の話が出る限り、頭を使いながら戦っているのは分かる。あとは組みつくまでどれくらいできるかという問題がある。ノースカットをグラウンドでコントロールすることに成功したファイターは少なくないし。
ノースカットは圧勝できない状況にまだまだ弱い感じ。バルベリーナ戦ではコンディションが悪かった、今回は一発もらって機が動転した。わかるけど、骨折してでも勝つってガッツがないとあらゆる苦境に対応できないのではないか。同じスーパーキッドでも、日本の天心君は難しい状況にその都度対応して乗り越えてきたんじゃないだろうか。だから全勝。見習おう。
Win ユライア・フェイバー 第11試合 ブラッド・ピケット
長い距離からフェイバーが様子をみながらいつものようにジャブやオーバーハンドなどで飛び込んでいくのだが、ピケットは得意の強打で応戦。フェイバーが強いのは飛び込みながらテイクダウンも仕掛けていけるという点だが、ピケットはレスリングも強い。足を取ってテイクダウンするフェイバーだが、ピケットは背中をつけない。先にピケットが起き上がり、立ち上がったフェイバーに右フック。しかしこれはフェイバーがガードし、大きな左フックを打ち返すとピケットが大きく被弾。倒れるピケットへフェイバーが強烈な横殴りのパウンド。地元カリフォルニアは大歓声。得意のチョークは決まらず、どうにか生き残ったピケット。
2R以降ピケットは精彩をかき、フェイバーのジャブや左フックなどを防げない。レスリングでもフェイバー相手には分が悪い。こうも消耗してしまっては、当然打撃と二択を迫るフェイバーのテイクダウンやグラウンドを防ぐのも厳しい。しかしピケットが素晴らしいのはボコボコの顔面で打ち返していく点、彼のニックネーム「ワンパンチ」はフェイバーの顔面に届くだろうか。
3R、そんなピケットの芽を摘むかのようなグラウンド地獄。フェイバーがベストな仕事。ピケットにとって苦しく長く、反撃するには速く過ぎていく時間。
地元カリフォルニアでファンの大声援に囲まれながら素晴らしいパフォーマンスを見せた。チーム・アルファメールのリーダーでありMMAを象徴するようなユライア・フェイバー。全く衰えを見せず、引退試合を見事に勝利。
マイク・ペリー 第10試合 アラン・ジョーバン Win
結局いつものようにペリーが被弾しながらもプレッシャーを強める展開。1Rこそペリーのパンチが当たりジョーバンもフラフラしていたが、ミドルキックやローを続けるうちペリーが足とボディにダメージを負っただろう、プレッシャーが弱まった。ジョーバンの左ストレートのカウンターは1Rから当たっていたが、プレッシャーが強いとジョーバンのあらゆる打撃が機能せず。最終ラウンドはペリーとの間に空間が出来るとミドル、ロー、左ストレートも面白いように当たる。
ローが死んだパンチャーが逆転したのをほとんど見た記憶がない。
今回はジョーバンの作戦勝ち。テイクダウンをすると公言はしていたものの、最もよかったのは左のキック。もちろん強くて精度の良い左ストレートで相手を弾き返せるのことがあってのことだけど。ペリーがデビュー戦ならジョーバンの対策及ばずだった可能性は大きいと思う。
今回はジョーバンが素晴らしかった。
Win 廣田瑞人 第8試合 コール・ミラー
廣田がスタンディングでパンチを出すと面白いように当たる。右、左など大体2発のコンビネーションで入っていき、ミラーが打ち返すころには悠々とクリンチ。そこから大きなミラーを投げ飛ばすなら、ブレイクして仕切りなおすなり、主導権を取る。またテイクダウンしてもミラーの寝技おそるるに足らず、廣田のパウンドがよく当たる。
廣田ブランクやリーチ差心配だったけど、全然余裕。30-21で廣田で良いと思うほど何もさせなかった。危なげない仕事。ミラーは何もできてなかったが、廣田自身パンチもカーディオを速度も衰えは感じさせない。身体の仕上がりもバキバキでかっこよかった。これなら今後良いコンディションでUFCに挑めそうだ。「UFCに仕返しする」的な意気込みを語っていた廣田。
廣田は基本的にバランスの良いファイター、苦手なのはパンチの上手いボクサーだろうか? 廣田にはガンガン前に出て殴っていってほしい。やったれ。
Win コルビー・コビントン 第7試合 ブライアン・バルベリーナ
コビーがキックのプレッシャーから早々とクリンチ。ここら辺の卒の無さは板についてきた。ケージレスリングでテイクダウンをせっせと仕掛けるが、バルベリーナがしぶとい。コビー相手にこれは素晴らしい。コビーが先に消耗したらまずいぞ。安定せず離れてからのボクシングではコビントン。しかしバルベリーナは非常にリラックスし、不気味なプレッシャー。2Rはパンチのプレッシャーから普通にテイクダウンしトップを奪ったが、コビントンがトップキープできない。この展開は3Rまで続き、コビーがテイクダウンしてはバルベリーナがエスケープ。そしてブレイクのボクシングで少々コビー。コビーがこのボクシングで勝てるためクリンチの選択権がある。残り40秒でコビーがきっちりテイクダウンし、トップを奪う。
コビントンは昔に比べ本当にパンチコンビネーションやキックがうまくなった。速度が違う。思うのは、昔までグラウンドとスタンディングの選択権が「組」に強い方にあったが、最近は打撃が強いやつが組むかどうかすら決定するよう。
あとバルベリーナは打撃のプレッシャーが非常によかった。これはグラウンドがうまいから、という点が大きい。しかしそこでコビーの打撃が強かったのならきつい。ここがコビントンがコンプリートファイターなところ。しかもガス欠もしない。最初に打撃に目もくれずさっさとテイクダウンする姿に嫌気がさし、嫌いな選手として数えていたが。今では非常に好きな選手となったコビントン。ウェルター級でどんどん上にあがっていきそう。
Win エディ・ワインランド 第3試合 水垣偉弥
エディ・ワインランドが軽やかなステップからジャブを突き刺してくる。水垣はスナイパーらしく、ワインランドの踏み込み終わりを狙い右ストレート、左フックなどで素晴らしい攻め。ローもよく機能しており、アウトボクシングでは水垣が上。
セコンドは行けると見たか「自分から攻めていっていいよ」と指示。水垣が踏み込んだ所へワインランドのカウンターのフックアッパー。これを被弾した水垣、追撃を許しレフェリーが止める。レフェリーの腰にワインランドを追いかけるが試合は終わっている。
なんとも悔しい幕切れ。なぜ日本選手の引退際の試合はこれほど悔しい試合が多いのか。金原、川尻、水垣。
全部勝てただろう期待が大きい試合だけに。。。
Win ヘクター・サンドバル 第2試合 フレディ・セラーノ
サンドバルのステップが非常に軽やか。スイッチングしながら、左右にステップしながら射程圏内を出入りする。セラーノはオリンピックレスラーだが、打撃なしのタックルでこの相手を捉えられるものではない。セラーノのステップは止まり「どうすりゃいいんだ?」という感じ。サンドバルは足の止まっているセーラノへケージレスリングを仕掛ける。サンドバルが強いのはここからで、ダブルレッグを仕掛けたりクリンチしながらも相手の右へ左へ回りながらフライ級らしかならぬ強打を打ち込む。ここでオリンピックレスラーにテイクダウンもされない。また、セラーノが不用意に打ち返そうものならサンドバルは強打を返していく。
サンドバルのスクランブルも素晴らしい。2R、ローキャッチからのストレートでダウンを奪うと、セラーノのタックルへスプロール。そのままアルファメール仕込みのギロチンで相手の首を取り引き込む。セラーノがこれを外した瞬間サンドバルは立ち上がってダブルレッグ。決してトップを許さない。
また、ボクシングはとにかくスリップ&右フックがうまい。これもアルファメールのパンチャーがよくやる。こないだのブルゴスも、ガーブラントも。アルファメールはラドウィックが抜けて、ユライア、ディラショー世代より若手のインファイトでのパンチが向上している印象。ラドウィック抜けて心配されていたが、自分の中ではアルファメールは今の方が注目。詳しくはどうなっているのか分からないが。
ボヤン・ベリチコビッチ 第1試合 スルタン・アリエフ Win
サウスポーの長いリーチで、インロー、ミドル、左ストレートでのプレッシャーが非常に良いベリチコビッチ。アリエフはあまり打撃戦に興味がなく、すべて組みつくための布石と割り切ったようなファイト。実際にケージレスリングは強烈。決して腰の軽くないベリチコビッチを軽く転ばす。ベリチコビッチは柔術もよく出るが、ここもトップコントロールが安定的。スクランブルでバックにつかれてもすぐにトップを取り返す。ヌルマゴメドフの系列の強さ。
アリエフ、デビュー戦はKO負けしてしまったが、確かにこの試合でも若干被弾があった。打撃速度のあるファイターへは不安があるか。ベリチコビッチも基本長い打撃と、クリンチ、柔術も強く、瞬間ごとに最善をつくせる印象のある良い選手だと思うのだが。
こういう選手を見ると、テイクダウン&トップキープの強さこそ最強だと常に再確認させられる。
あと判定は2-1のスプリット。アリエフ支持は2名とも30-27だったが、確かにグラウンドのパンチは少なかった。ただ、ラウンド序盤のベリチコビッチの有効打だけでは優勢と判断しきれるかと言えば、、、。判定基準が変わり、徐々に反映されていきている。トップキープのみの価値は落ちてきていると実感。その点ヌルマゴメドフはいつもきっちりパウンドで相手を削っているなと思い出す。
格闘技ほか、サッカーや野球など、スポーツの賭けに参加してみたい方は、「格闘技に賭ける」のバナーからブックメーカーへの登録が可能です。
登録方法についてはこちらに記しておきました。
ブックメーカーの説明から海外口座の開設方法まで、詳しく知りたい方はこちらからご覧ください。
ほか、ブックメーカーの登録方法や記入方法などの不明点など、ご希望があったらできる限りお応えします。
ウォーターソンはアトム上がりなのに計量ではヴァンザントよりもだいぶバルクがあって不気味でした。実際強かったですね。ストローは人がいないんで来年にはもうチャンスあるかもしれません。
ノースカットのことはもはや悪く言えないです。バルベリーナ戦で持った不信感を信頼すべきでした。ガルはどんどん望む相手と組んでやればいいんじゃないですかね。ハーディーを呼び出したのが良い考えとは言えませんが、その手があったかとは思いました。ついでに自分はCMパンクの二戦目もオクタゴンで見たいと思ってます。前回は相手が悪かったんじゃないかなと(笑)
水垣選手はどうしても引退を想像してしまう負け方でしたね。短い時間ですが、動きは非常に良かったと思います。ただキャリアの終盤を迎えた選手がああいう形で負けるのは結構見覚えがあるというか……リデルなんかも悪くない展開から一撃でストップされることが連続して引退しましたね。ちょっと心配です。
サンドバルも良かったですし、中々熱い試合続きでしたね。自分の敢闘賞はホルツマン、ワーストはノースカットを抑えてコールミラーです。
カセレス戦と比べても何もできていない
ノースカットは成長してない同じようなパターンだ負けたのはともかく
恥ずかしい負け方したあとに全然悔しそうじゃないのはいただけなかった
それは選手の勝手だがこの程度の選手をコメインに起用しちゃうのはUFCのブランドを傷つける行為だと思いました
そしてリタイヤ中のハーディさんに対戦を申し込む厚かましいガル
こういう勘違いした選手は制裁で美味しくない選手と当ててやって欲しいです
本来なら前座でノースカットに勝ったもの同士バルベリーナとやるのが妥当だとおもいます
一昔前のダナなら完全にジョーク扱いにしていたのではないでしょうか
コビントンは試合を完全にコントロールできていましたが
逆にこれといったダメージ与えていない気がするのがネックですかね
ウォーターソン大きくなってましたよね?
それみないでベットする自分も自分ですが。ヴァンザントがもともと大きくないというのもあるんでしょうか。
ノースカット、武器全然使えてないですね。蹴りとか長い距離の持ってますし、テイクダウンめちゃくちゃ強いのにあまり強くないアウトボクシングしますし。何かのきっかけで急激に強化されない限りちょっときついですね。コビントンですらテイクダウンできないバルベリーナからテイクダウン取ってたんですがね。
ガルがどんどん勝ち上がったらそれはそれで面白いですね。
パンクの2戦目良いですね。UFCも興行なのでチャレンジ枠とかアーリープレリムかプレリムの1戦目とかで規定しちゃえばいいんですよね。みんな面白く見そうです。ノースカットのような選手が叩かれること減ると思いますし。
水垣選手、本文には引退するかの如く書いちゃいましたね。やはりUFCの継続参戦は厳しそうですが。動き非常に良かったですね。ご本人も「あれで失神してるようでは自分のスタイルでは勝てないなぁ、打たれ弱くなったのかな」という旨ツイートしていました。
サンドバルやホルツマンも前に出る気持ちいいファイトでしたね。ミラーのワースト・オブ・ザ・ナイトは残念ながら私も否定できません。
ミラーは減量が本番になってしまってますか。思い切ってウェルターにあげるのもよさそうなんですが。
ノースカットどうなんですかね。本人は悔しいのでしょうが、、、喧嘩売られて気持ちで負けてしまったら今後カモにされそうです。ごちゃついた展開を嫌うというのは私も非常に分かるんですが、、、MMAはそういうとこで強くないときついですね。
バルベリーナとガル良いですね、賛成です。ガルにとっては嫌な相手でしょうね。笑。
コビントンは靭帯ケガしてたみたいですが、テイクダウンに固執するとよくないですね。精神的に楽なんでしょうが。