2016年11月20日
感想 UFC Fight Night 99 「ムサシ VS ホール 2」大会
11月20日(日)に行われたUFC Fight Night 99 「ムサシ VS ホール 2」大会の感想です。
ゲガール・ムサシ VS ユライア・ホール
前回KOで勝っているホールのステップが軽やか。精神的優位からリズムはホールにあるか。ムサシが慎重に攻めざるを得ないがプレッシャーをかけている。主導権をどのように奪取するかに注目。ムサシがじりじりと接近し長い手を伸ばすと、ホールの顔に突き刺さる。中間距離ではホールがムサシの胸へめがけて前回見せて飛び後ろ蹴り。当たりはしないが、ムサシの上体が起こされ打撃戦を余儀なくされている。ジャブは大丈夫だろうが、右ストレートにもこの蹴りは合う。ホールがここら辺はうまい。
ムサシのプレッシャーへのけん制として十分な効力だが、緊張した面持ちのまま、ムサシはさっとクリンチをしかけ難なくテイクダウン。グラウンドでうつぶせになるホールへサイドから難なくパウンドを落とすと、ホールは動けない。なすすべなくストップ。
勝利:ゲガール・ムサシ(1R パウンド)
なんともあっけなくムサシがリベンジ成功。ホールは打撃戦へ持ち込むまでの伏線は良かったが、やはりムサシが慎重に飛び込めばこうなるか。ムサシのタイトル挑戦へ憑きまとう唯一のケチを落としただろう。タイトルコンテンダーとして異存なし。おそらくロメロが次の挑戦者だろうから、ムサシはジャカレイと並んでいるだろうか。
石原夜叉坊 VS アルテム・ロボフ
1R。サウスポーは夜叉坊。プレッシャーを掛けていくのがロボフ。距離を取るのは夜叉坊。左ミドルでけん制、長い左ボディで先を取っていく。ロボフは夜叉坊の左ボディへ右ストレートの打ち下ろし、右ジャブへ左フックのカウンターを合わせていく。緊張感のある展開。ロボフのプレッシャーが強いか、ステップインへテンカオを合わせる夜叉坊だが、ロボフの大きな右の方が少々押しが強い。夜叉坊あまりよくない流れ。
2R。夜叉坊のローが当たっているが、どうもパンチはロボフのものが浅くヒットしている印象。ホームのロボフのムードがどうも強い。夜叉坊ロボフを崩せないか。ミドルに右を合わされ始めている。夜叉坊少々ガスが切れてきたか、距離が近づき待ちと強打のロボフへ多くの被弾を許す。これは倒さないと負けるぞ。
3R。ローを振る夜叉坊だが少々動きが思い。ロボフのローの方が少々強い。ケージ際に追いやられた場所では被弾も多い。これはきついか。ロボフへの反撃も足元が定まらない。しかし残り3分、ロボフが少々疲れ動きが甘くなったところへ大きな左。ダウンするロボフへグラウンドを追いかける。しかし試合を終わらせるガスがないか。残り2分立ち上がる。ここでの打撃戦も夜叉坊の被弾が目立つ。最後までロボフを崩せず。
勝利:アルテム・ロボフ(判定 3-0)
フルマークもあり、夜叉坊完敗。基本的に何もできなかった。アウトサイドからジャブ、ミドル、インサイドでは左のカウンターで戦うようだった。思ったよりロボフがジャブやミドルへカウンターやステップインストレートで対応してきて、長距離でできることがなくなってしまった。
それでもインサイドで打ち返すのだが、ロボフは手が短いながらクリンチさえなければインサイドがやはり強い。マクレガーも会場内へ入り祝福。
夜叉坊は効果的なオフェンスがちょっと弱いと思う。単発の打撃は時間経過とともに見切られていく。ジャブもボディストレートも左ミドルも序盤は機能していたのだけど。ここからメインウェポンを見つけるまで夜叉坊はきつい時期が続きそう。
夜叉坊に厳しい現実が立ちはだかったが、これは潜在的には今まで修得すべき課題だった。これをクリアするために、夜叉坊はセンスと運動神経とリーチと、チーム・アルファメールという最高の練習環境、トップファイターであるコーディ・ガーブラントらの最高の練習仲間、そして仲間に愛されるキャラクターを持っている。
次の試合までに、具体的な何かが今までの夜叉坊とは違う、そういった姿が見られることだけを期待している。
堀口恭司 VS アリ・バガウティノフ
1R。バガウティノフがサウスポー。両者スタンスが非常に長く距離が遠い。長い距離で刺し合う、クリーンヒットなし。堀口が膝で飛び込むとアリがきっちりキャッチ、テイクダウン。10秒となく立ち上がるが、クリンチは続いている。むしろクリンチからテイクダウンを狙っていくのは堀口。バックを取り殴るがアリもやられはしない。アリに足を持たれてグラウンドへ投げられるが、すぐに立ち上がり、殴る。
2R。遠い距離では両者コンタクトできない。クリンチではなんと堀口が少々上回る。アリが組みのプレッシャーを掛けれないので、徐々に堀口の打撃のプレッシャーが生きてくる。遠い間合いから左フックで入る堀口、なんという速さ。アリが被弾しよろける。堀口は組み付いてなんとダブルレッグ。目を疑うような堀口の成長。離れて再度踏み込んだコンタクトで再三優勢の堀口恭司。
3R。遠い距離から入るアリが堀口へ強打を当てる。かなり強いパンチを被弾したのだが、堀口は顔すら歪めない。頭を揺らしながら打ち返していき、結局クリンチ戦で勝る。そしては離れる。遠い間合いから堀口の後ろ回し蹴り。相手がクリンチで入るが問題なし。さらにワンツーで飛び込むと相手の返しのフックはショルダーできっちりブロック。見えている。
判定を聞くまでもないか、笑顔の堀口。
勝利:堀口恭司(判定 3-0)
天才だ。
堀口恭司はまぐれもない天才。打、投、寝、速、力、すべてで勝っている。しかも相手はアリ・バガウティノフ。大器だとは思っていたがここまでとは。アスリートのもつべき心技体のすべてにおいて一流の器。
そもそも、堀口は日本にいるときから自らテイクダウンを仕掛けるべきことを口にしていた。心、精神が強く頭が良い。そこから着実に、クリンチ以降の展開を身に着けるセンスを持っている。技術を習得するセンス。そしてアリのような体の強い相手へ全く押し負けない。力、身体。ここまでものにできるものなのか。アリにあそこまでクリンチで負けないなら、打撃含めほとんど負けるフェイズがなくなってきた。
久しぶりに震えた。最高の勝利だった!
ケヴィン・リー VS マゴメド・ムスタファエフ
1R、オーソドックスから一歩足を後ろに下げ、サウスポーからムスタファエフが強烈な左ミドル。思い切りがよく前にでるリーのボディに突き刺さる。あばらが折れるかというほどの痛撃に耐え、ダブルレッグをトライするリー。テイクダウンは成功しないがムスタファエフのギロチンを防御し、トップを取るリー。しかし安定しない。
残りの2分は打撃戦。ムスタファエフのキックやスピンブローが当たるが、リーはドライブしてテイクダウン。素晴らしい。マウントを取るも数十秒でムスタファエフが立ち上がる。ムスタファエフのパワーもすごいが、リーのテイクダウンがここまでだとは思わなかった。立ち上がったクリンチでもリフトして大きなスラム。リーがバックから首を取ろうにも時間が足りない。
2R、ムスタファエフが蹴りで距離を取る。威力は強いが速度が遅く少々雑。フックも大振り、リーは軽々とレベルチェンジ。ムスタファエフはどうにか立ち上がるがテイクダウンが簡単に決まるあたり厳しいか。リーは何度でもテイクダウンをトライし、グラウンドを攻める。今度はバックポジション。足のフックもがっちり決まっているのでムスタファエフが逃げられないか。いや、逃げた。立ち上がり、ムスタファエフが強烈なテンカオ、そして大きなアッパー。リーが被弾するのだが、やはりテイクダウン。打撃の大砲とテイクダウンの大砲の打ち合いの様相。当然有利はテイクダウンを持っているリー。もはやグラウンドのディフェンスもままらなくなってきたムスタファエフ。何度もトライしているチョークを力で締め上げ、タップしないムスタファエフは失神。
勝利:ケヴィン・リー(2R リア・ネイキッド・チョーク)
戦前の予想ではムスタファエフならリーのテイクダウンに対処できると思ったが、誤算。強烈な被弾を受けてもドライブし、立たれてもテイクダウンとグラウンドの圧力を緩めないメンタル。ムスタファエフは序盤はグラウンドの対処が悪くなかったが、ボトムに敷かれる頻度が多すぎた。そもそもあれほど簡単にテイクダウンされてはよくない。パワーは申し分ないので、もう少し戦い方を洗練させる必要が出てきたか。
リーは相変わらず被弾が危なっかしい。そもそも一度の機会の攻撃効果はテイクダウン>打撃となるので、被弾ありきで大きなリターンを狙うことは非常に大事。今のところテイクダウンを勝敗の分岐になっているリー、今後上に行きテイクダウンが取れないとき戦えるプランBが少々弱いだろうか。さらなる躍進に期待。
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私はいくら堀口のスクランブルやグラウンドが向上しているとはいえ、まだATTに移籍して1年も経っていないので、今回堀口がバガウティノフに対して組みの展開でどれだけ凌げるかくらいに考えていましたが、いやはやとんだ見立て違い。
凌ぐどころかむしろ組みの展開では堀口が優勢で、フィジカルの強いバガウティノフにパワー・技術共に全く負けていませんでしたね。
得意の打撃に関しては1Rはバガウティノフの懐の深さにいつもより攻めづらそうでしたが、2R以降はアジャストし始めて反撃をもらいながらもきちんと当てていて、相手をぐらつかせる場面などもあり、こちらでも競り勝っていたように感じました。
いやはや凄い成長ですよ、伸びしろのある選手だとは思っていましたが、成長速度が早すぎます。
正直私はDJ戦の堀口のイメージが抜けきれず、今回のバガウティノフのようなトップレベルのレスラーと堀口が対戦することに不安を感じていたのですが、次からはその不安はなくなりそうです。
次に夜叉坊ですが、ロボフのプレッシャーに終始押されていて、また武器の引き出しで明らかに負けていました。
夜叉坊にはパンチの当たる中間距離で、得意の左だけでなく、プレッシャーを跳ね返し、相手を削って支配するバリエーションに富んだ打撃が必要だと思いました。
夜叉坊が次戦でどのような成長をみせるのか注目です。
堀口はもともとDJからもトップ奪ってますから、おそらく日本にいたときからKIDさんとこのジムでそれを黙々と練習していた(そこが偉い)とは思うのですが、ジョンさんおっしゃるとおり「それにしても」ですよね。
バガウティノフってめちゃくちゃ強いですもんね。トップレベルのロシア人を真っ向からのレスリングであれだけコントロールした日本人っているんですかね。笑。
>成長速度が早すぎます。
自分も驚きました。とにかく行動が早いんだと思います。レスラー大丈夫でしょう。というかバガウティノフにあの勝ち方したらあとはセフードとべナビデスの勝者と対戦して勝利するだけですね。
確かに、夜叉坊基礎技術でちょっと勝ててなかった感じがします。おっしゃる通り、削りがあって主導権を取れる武器必要ですよね。今まで左を当てるための仕掛けがありましたが、ロボフは突っ込むことはせず、ちゃんと分かっていましたね。そういうときロボフがリスクを冒さざるを得ないような攻撃を用意するしかないんですが。
自分は昨日、堀口の試合やベラトールのマイケル・ペイジの試合、その後Abemaで伝統派空手の試合を観戦したからか、夜叉坊にああいう単発の強打を当てながら距離と足運びで相手を翻弄するスタイルはかなり合っているんじゃないかと感じました。
とにかく器用ですし、運動神経がいいので蹴りも使いこなせそうですし。スタミナ温存も出来て、一発の強打も生かせて、罠も張り放題、しかも人気の出るスタイル、目立ちたがり屋の夜叉坊にぴったりだと思いました。
あれだったら比較的短期間で体系的なボクシングと対等に戦える武器になりそうな気がしました。