2016年11月06日
感想 UFC Fight Night 98 「アンジョス VS ファーガソン」大会
11月6日(日)に行われたUFC Fight Night 98 「アンジョス VS ファーガソン」大会の感想です。
ハファエル・ドス・アンジョス VS トニー・ファーガソン
1R。アンジョスが珍しくスイッチングスタイル。ファーガソンもさすがに迂闊に飛び込まない。両プレッシャーファイターの意外なお見合い。アンジョスはオーソドックスからローキックを打っていく作戦。これが功を奏しているようで、ファーガソンは右ストレートのカウンターで応戦するが、アンジョスに当たらない。パワーではファーガソンが負けていないのだが、打撃技術、特にディフェンスに大きな技術差を感じる。左ストレートがよく当たり、早くもアンジョスペース。残り90秒、ローを効かせファーガソンがスリップ。アンジョスがグラウンドトップを取るが、深追いはしない。スタンディングで勝るためする必要がない。
2R。プレッシャーを強めるファーガソン。一進一退の攻防に見えるが、ややファーガソンに余裕が見え始める。ファーガソンのジャブが良く当たりアンジョスが下がっている。アンジョスのパンチも当たらなくなりつつある。ファーガソンの右がアンジョスを捉えはじめたか。
3R。アンジョスが平静さを取り戻したか、1Rにあったローに加え得意の左ミドルも交えながら攻撃を散らし始める。ファーガソンらしからぬ鋭いジャブも冴えるが、アンジョスの回避とカウンターが機能を回復させたか。一進一退の攻防。息が詰まりそうだ。
4R。頭を下げたアンジョスへ大きなファーガソンのニー。このラウンドは2Rのようにアンジョスが下がり、ファーガソンが殴る展開。もうまったくわからない。
5R。プレッシャーはファーガソン。もはやアンジョスも打ち返すが、かぶせるようにファーガソンがジャブを差し込んでくる。打撃のヒット数で明らかにファーガソンの勝ち。
勝利:トニー・ファーガソン(判定 3-0)
ファーガソンがアンジョスに対しあれほど綺麗に中間距離を維持できるとは思わなかった。プレッシャーファイトという観点からも明らかにファーガソンが押しており、2,4,5Rは明確にファーガソンが上回った。逆にアンジョスが上回った1,3Rは中々微妙なところ。
アンジョスのオーソドックスに構えて右ロー、スイッチングして本来のサウスポーで左ストレートが機能している1Rまでは非常に良かったが、ファーガソン相手にそれを維持するのは至難だったようだ。
ファーガソンは被弾しようが致命傷に至らぬと判断した場合、例えポイントゲームになろうと前進しながら能動的にポイントを取りに来る。時間経過とともに新たな迎撃を用意せねば、徐々にファーガソンが相手を攻略していくという構図になっている。
パンチやキックの型やディフェンスがうまくないだけに、評価されにくいが非常にタフなファイター。しかしこれでもはやファーガソンのタイトル挑戦に異論はなくなっただろう。しかしあそこまでコンプリートファイターのアンジョスが負けるとは。。。驚きを隠せない。
マーチン・ヘルド VS ディエゴ・サンチェス
ベラトールを主戦場に戦い、ウィル・ブルックスに挑戦したことのあるヘルド。ベテランで地元のサンチェスに大きなフェイバリット。ヘルドのUFCにおける立ち位置を占う大事な試合ですよ。
1R。クリンチ戦は両者譲らず。サウスポーに構えるサンチェスへ、打撃戦はオーソドックスのヘルドが有利。サンチェスも回避がうまいわけではないが、被弾で下がるようになってきたな。
サンチェスがタックルをしかけるが、ヘルドはギロチンでカウンター。かなりタイトなのだが、サンチェスはなんと金網を駆け上り落ちる反動で抜く。会場が盛り上がる。下がり気味だったサンチェスだが、乗ってきたよう。前進しながら右フックをぶち込む。
2R。前回と打って変わり今度はめまぐるしい寝技戦。極めはヘルドでつま先を捉えてみたり、踵を抱えて見たり。しかしサンチェスはポジショニングがよくトップを譲らない。ガードで落ち着くが、トップのサンチェスがどう攻めるか。サンチェスは隙をみて殴るがトップキープがかなり安定的。ボトムからうるさいヘルドを抑え込み2R終了。
3R。高地メキシコの薄い空気をむさぼるように呼吸する。グラウンド合戦はさぞやきついだろう。ヘルドがトップを取らんとタックルを仕掛けるが、スクランブルで再三トップを取るはサンチェス。ヘルドがボトムで悠長に仕掛ける間、サンチェスは絶対にトップをどかない。サンチェスでなければトップを軽く奪われているようにも思える。トップから黙っているだけでなく、隙を見て殴るサンチェス。ここらへんの試合巧者ぶりはさすがとしか言いようがない。
勝利:ディエゴ・サンチェス(判定 3-0)
サンチェス、素晴らしい!
下馬評を覆しての完勝。打撃で多少の遅れを取るが持前の気迫で押し、グラウンド戦に持ち込む。ヘルドの本領はグラウンドだが、ヘルドの居場所は地面側。空気の薄いメキシコで地面を散々もがかされる地獄を味わっただろう。試合終了直後、ヘルドは天を仰ぎしばらく動けなかった。
対するサンチェスはガッツポーズで勝利をアピール。格の違いを見せつけた。彼のような柔術の上手いオールラウンダーに勝つには、まず打撃で圧倒的に優位に立つことが大事だった。さすがベテラン。
リカルド・ラマス VS チャールズ・オリヴェイラ
9ポンドオーバーという驚異的な体重で登場したオリヴェイラ。11回中5回目の体重超過。反省の色がないよう。一度リリースされた方が良いと思う。
対するラマス、一回り大きいオリヴェイラにどう立ち向かうか。
1R。身長の高いオリヴェイラが前進するが、ラマスは堂々と打撃で応戦。さすがトップランカー。オリヴェイラは構わずクリンチを仕掛けるが、テイクダウンはなんとラマス。トップからコントロール。素晴らしいが、トップからの決め手はない。オリヴェイラがボトムから足に絡みつきエスケープ。クリンチは続いている。
今度のテイクダウンはオリヴェイラが大きなスラム。体重超過したのだから当たり前、さすがでもなんでもない。トップからコントロールし、ダースチョークの形に持ち込むがラマス外す。しかしコントロールは続き、ラマスはバックから攻められ厳しい1R。
2R、テイクダウンを仕掛けるはオリヴェイラ。素晴らしいスクランブルでトップを取る。トップから安定的にコントロールすると、オリヴェイラは機を見てラマスのトップを取り返す。しかしラマスはオリヴェイラの首を捕まえており、フロントチョーク。がっちりと入っているようには見えなかったのだが、簡単には外れず十数秒耐えたがオリヴェイラはあえなくタップ。
丁寧な言葉で書くと、ざまあみろ。
勝利:リカルド・ラマス(2R SUB フロントチョーク)
ラシッド・マゴメドフ VS ベニール・ダリウーシュ
スタンディングでマゴメドフが主導権を取りたいところだが、ダリウシュのリーチが長くプレッシャーをよくかけている。マゴメドフはカウンターで押し返したいが、射程外から殴られる場合これが生きず、テイクダウンも十分に警戒しながら戦うスタイルなので手が出ない。
とは言えダリウシュが効果的な攻撃をできているわけでもなく、クリンチ以降の展開を望むがここは逆にマゴメドフの膂力が強い。
1R終了間際にマゴメドフがダリウシュをテイクダウンするも、両者これをという決め手がなく3Rが終了。打撃の優劣もつけ難い。会場からは煮え切らない展開にブーイング。相性があるから仕方がない。
勝利:ベニール・ダリウシュ(判定 3-0)
ジャッジのうち30-27が2名いた時点で1Rのテイクダウンもあり、案外マゴメドフが評価されたかと思いきや、判定はダリウシュ。ダリウシュ勝利に異論はないがそんなに圧倒的だったかな。。。?
1Rごとに優劣をつけるから仕方ないが。。。
しかしダリウシュはテイクダウン・ディフェンスの強いストライカーに対して難しい試合をうまく制したな。マイケル・ジョンソンにも打撃戦で勝利しているし、アウトボクサーのイメージはなくともリーチを生かすのはやはりうまい。今日は左のキックとクリンチニーが良かった。
マゴメドフは毎回いわれることだけど、手数が少ない。きっちり待つからテイクダウンディフェンスが良いのだろう。しかし上に行くとこういう判定を落としてしまうのかな。長距離で相手のリーチに対抗できるよう、もう少しキックが欲しいところ。
ほか良かった選手
ジョー・ソト
Bellatorの元王者という素晴らしい肩書を持ちながら、いつも代役に抜擢される損な役回りをさせられている。しかしその実力は当時の王者ディラショーに迫ったりと、かなり完成度の高い強いファイター。
今回もレベルの高いものの少ないTUF出身者ベルトランに、ショート・ノーティスとは言え、ソトはアンダードッグで登場。身長の高いベルトランに打撃で迫り、テイクダウンをしたうえでボトムから足を絡めもがくベルトランのヒールを内からきっちりキャッチし一本。
素晴らしい仕事。おめでとうソト。
マックス・グリフィン
短い時間で分かりにくかったが、非常に良かったと思う。前戦は成長したプロスペクト、コルビー・コヴィントンの大磐石のテイクダウンとキックを防げず、持前のストライキングを発揮できなかった。その中でも安定感は感じさせる試合。
今回テイクダウン・ディフェンスは見られなかったが、相手を追う流れの中でコンパクトな右をヒットさせ、きっちりパウンドで詰めた。先日オヴァンス・サンプレーをKOしたライトヘビーのジミ・マヌワのような印象を受けた。
今後に期待。
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珍しく予想がマグレ当たりしましたが、見ている時はかなり気分が乱高下する戦いでした。正直1Rを見る限りではアンジョス勝つのかなという内容で、足を効かされて後半も前に出れないか……とも思ったのですが、2Rにはペースを掴み、逆に3、4Rでのフィニッシュもあるかと思ったら3Rにはアンジョスが盛り返しましたね。個人的にここが一番驚きでした。やはりアンジョスは普通のファイターじゃないですね。
しかしより普通じゃないのはファーガソンで、4R以降にはお得意の狂人ムーブも披露してポイント以上に余裕を見せた勝利となりました。てっきり1Rからフルスロットルで行くのかと思っていましたが、慎重に中距離での攻防を進める姿からは王者に相応しいものを感じました。いずれ金を生む男になるかもしれません。
ヘルドは期待して見ていたんですがUFCデビューと高地のダブルパンチは酷でしたかね。仕事にムラがあることでお馴染みのサンチェスは地元で大当たりを見せてくれました。
体重超過のオリヴェイラはこれで二連続ギロチン葬、出来ればもう一人のオリヴェイラにも痛い目にあって欲しいです。
全体としてはやっぱり皆苦しそうでしたね(笑)
動きも落ちていたように思いますし、手数もやや少なめでした。変わらないのはいつもゆったりしてるサムアルヴィーくらいですかね……。
メインのドスアンジョスvsファーガソンに関しては、驚きました。
ファーガソンが前試合で格下相手に見せたあの姿とは別人でした。
あの相手にあれだけスタンドでやられるならドスアンジョスにはスタンドで圧倒されてしまうと思ったのですが・・・。
ファーガソンのボクシングの向上しているのとタスネスがすごいですね。
ボクシングは決して速くてテクニカルというわけではありませんが、圧倒的タスネスで前進しながら相手のパンチを多少受けてもそのままパンチを打ち込む、リーチも長いので届く。ドスアンジョスもかなりパンチを当てていたとは思うのですが、ただでさえ高い身長とリーチで顔面へパンチが当てにくいのに当ててもファーガソンは効いている様子もなく前進してくるので対戦相手からしたら、当てても当てても・・・・と、非常に嫌な相手でしょうね。
長身+長リーチ+タフネスは驚異ですね。
ですがそれ以上に、自分はエディ戦でも思っていたのですがドスアンジョスがペティス戦、セローニ戦に比べてかなりパワーとスピードが落ちていませんか?
なんかテクニカルにパンチとキック、上下左右パパンと撃ち分けて戦っているとは思うのですが、ペティス戦セローニ戦の時は、急激なストップ&ゴーというか、一瞬で飛び込んで爆発的で強力な打撃を叩き込むという感じだったと思うのですが・・・。なんというか前回、今回のドスアンジョスからは全体的に力強さを感じられませんでした。
ツイッターでもフォロワーさんに左ミドルやストレートのプレッシャーありきでテイクダウンが決まるとの指摘をいただきました。コーカーさんと同じご意見でしたが、いやー今回は勉強になりました。
狂人ムーブ良かったですね! あのあと笑いながら挑発しているとこも面白かったです。
アルバレスでもテイクダウンは厳しいとの意見をいただきましたが、どうなんでしょう。アルバレスよりマクレガーの方が距離が遠いですが、テイクダウンに入るタイミングが絶妙なアルバレスなら、と思います。ファーガソンはそれより背やリーチが高いですからね。
サンチェス本当に良かったですね。ヘルド打撃でプレッシャーかけてるうちは良かったですが、あのギロチンエスケープから流れが変わりました。笑。なんだこいつは、と思ったでしょうね。
アルヴィはいつも口あいてますよね^^;
高地はヴェラスケスですらガスがつきますから、、、怖いです。
お久しぶりです、コメントありがとうございます^^
> ファーガソンが前試合で格下相手に見せたあの姿とは別人でした。 あの相手にあれだけスタンドでやられるならドスアンジョスにはスタンドで圧倒されてしまうと思った
全く同意見です。笑。どのようにアンジョスの打撃を回避するのかと思いきや、被弾しながらもジャストミートはきっちり避けてましたね。前回はやはり油断だったのでしょうか。
あるいはてぃなおさんがおっしゃるようにボクシング向上しているのかも知れませんね。距離感はかなり良くなっていた感じがします。菊野戦なんかみても距離設定は元々悪くはないと感じていましたが、前戦のインパクトが大きすぎました。
ファーガソンは本当に誉め言葉として嫌な相手ですねー
マクレガーがディアスに対して感じたような印象ではないかと感じます。
アンジョスのパワースピードの劣化は自分は判断しかねますが、確かにペティス戦セローニ戦での迫力は一切なかったですね。エディもファーガソンもプレッシャーファイターを真っ向から押し返せる力がありますから、もしかしたらアンジョスは下がるファイターが得意なだけかもですね。
自分はもっとバッチバチに前に出てくれると思ったんですが。アンジョスは踏み込みという追い足だと思います。膠着から鋭いステップインより、膠着時にはじりじりと追い立て、逃げたら素早く追いかける。
いずれにしろアンジョスが打ち合い上等だろうは自分は誤算でした。もしかしたらエディ戦の被弾で慎重になったのかも知れません。
ファーガソンはずっと応援しているましたが迷いましたね。
リーチ差、ホームの利とアンジョスの畳み掛ける力、ファーガソンがワンパンもらいやすい傾向。
結果的に差がつく勝ちかたでしたが通常の3R勝負、アイポークなければどちらに天秤が傾いたかわからない気がします。
今回は終わってみれば次の二つは強気で行くべきでしたね。
TUF対決はブラボーホームで相手20歳と経験値に疑問
マックスグリフィンは、なんてヒーローのような名前、相手のモンタノが見るからに弱そうな雑魚臭がしていたのに案の定数合わせの地元枠
あとはヘルドは関節技以外微妙っぽいのにたいしてサンチェスはホームな上にそこそこ関節で勝っている、
ジムミラーに競り勝つと下位ランカーレベルの実力は維持。
これは完全に高オッズギャンブルカードでしたね。
>今回自分はメインをすべて当てるという快挙でした
それは素晴らしいですね、オッズが拮抗していたので結構難しい大会だったと思うのですが。さすがです。
メイン、アイポークで流れが変わったという意見はツイッターでも見かけましたが、それにしてもアンジョスがプレッシャーファイトできていませんでしたね。
>完全に高オッズギャンブルカード
TUF決勝や強いレスラーに負けてしまったストライカー、外様で名をあげたファイターなどはそうかも知れませんね^^;
本当にふた開けてみないと分かりません。
予想屋はヤマ張るわけですが、センスの世界というか、とにかく読みの正確さに波は出てきますよね。
いやー、UFCがしばらく無かったので、パウンドアウトさんの試合予想、感想が久しぶりに見れてうれしいです(笑)
>ファーガソンは本当に誉め言葉として嫌な相手ですねー
マクレガーがディアスに対して感じたような印象ではないかと感じます
自分も全く同じ印象を受けました。
マクレガーがvsネイト1、2両方の序盤で見せた通り、あれだけの打撃技術の差がありながらもタフなネイトにクリーンヒットを当てても当ててもKOすることができずに逆にマクレガーが消耗してしまいましたもんね。
>エディもファーガソンもプレッシャーファイターを真っ向から押し返せる力がありますから、もしかしたらアンジョスは下がるファイターが得意なだけかも
あー、言われてみればたしかにnaoさんの仰る通りな気がします・・・その可能性がかなり高そうですね・・・。
あとアイポーク時の写真を見てみたのですが、動画見るよりずっと指が刺さっていて、これが試合に影響無いわけが無いというレベルでした。
1Rはドスアンジョスが有利に進めていたので、アイポークの影響もあるのかな と思いました。
これはオープンフィンガーグローブ最大の問題ですよね。レフェリーもアイポークに気づいてなさそうでしたし。
>UFCがしばらく無かったので、パウンドアウトさんの試合予想、感想が久しぶりに見れてうれしいです(笑)
そういっていただけると本当にうれしいです。笑。
>あとアイポーク時の写真を見てみたのですが、動画見るよりずっと指が刺さっていて、これが試合に影響無いわけが無いというレベルでした。
うわぁ、そうだったんですね。そうすると試合の流れが変わるというのはさもありそうですね。勝敗はかなり細やかなところで分岐しますから、アンジョスにとっては悔しいでしょうね。
確かこれからMMAのルール改変によって指を広げて相手に突き出す行為が禁止となるということですが、いつからだったか失念してしまいました。
ビッグ・ジョンなんかは金網つかみもきっちり注意してくれるので、こういうのも未遂の段階でどんどん注意して複数回に渡ればさっさと減点してくれていいですね。
勝敗ももちろん大事ですが、選手生命というか人生に関わりますからね。