感想 UFC Fight Night 87 「オーフレイム VS アルロフスキー」
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第13試合 ヘビー級 5分5R
アリスター・オーフレイム VS アンドレイ・アルロフスキー
地元オランダでアリスターの入場に大きな歓声。表情が若干かたいか? 対するアルロフスキーの表情には静かな闘志を感じさせる。
アリスターは前サントス戦でアウトサイドを堅実に守る自身の戦術の成熟を見せている。リーチを生かすべくスイッチングを繰り返すスタイルはPRIDEやK-1時代から見られたが、左ストレートがより伸びを見せるようになった。今回も立ち上がりからこの戦術をひいている。
対するアルロフスキーも打撃、特にボクシングスキルは超一級。被弾しない自信があるか、近距離がよりリスク対リターンが良いと見たであろう、圧力に弱いアリスターへプレッシャーを掛けていく戦術で、自ら前に打って出る。 注目の立ち上がりは、アウトサイドでもディフェンスとカウンターの良いアルロフスキーが、かなり大胆に踏み込んでいく。調子がよさそうだ。アリスターはガードを高く上げサークリングで対応、反撃の手は少なくかなり消極的に見えるが、体力の温存や長期戦に備えている覚悟ともとれる。
序盤は開始30秒で、プレッシャーを掛けたアルロフスキーが早くも金網を背負うアリスターへ左右のラッシュ。腕の長いアリスターのガードが強固だが、左へ細かくサイドステップすると、ボディへ強烈な右。アリスターは相変わらず表情がカタく、忍耐しているように見える。ここはしのいだアリスターだが、こういう展開が今後続く場合、アルロフスキーがアリスターをとらえることは十分にあると思う。
中盤、アリスターがきれいな左ミドルや、左ストスレートから右ローのオランダ式キックらしく対角線のコンビネーションを見せる。長距離戦術が本当に板についてきた。残りは1分、打って出たアルロフスキーへ自らも前へ出てクリンチ、アリスターが得意のテイクダウンを見せる。ガードトップから体格を生かしパウンドで攻めるが、アルロフスキーが耐えて1Rは終了。自ら前に出てグラウンドでボトムに敷かれたアルロフスキーが肩で息をする。ただし余力は十分にありそうだ。
2R、アルロフスキーの圧力が弱まり、得意のカウンターも交えアウトサイドでも戦っていこうという印象。しかしこうなるとアリスターの左ミドルがリズムを生み始める。蹴り終わりをアルロフスキーが追いかけ打って出るが、アリスターはきっちりガードをあげバックステップ&サークリング。アリスターがアウトサイドで武器選択の時間が出来たか、右足を上げるとキャンセルし、二段で左足での前蹴り。これがアルロフスキーの顎をとらえる。一瞬ひるんだであろうアルロフスキーへ、アリスター間髪入れずこれもまた得意の左フック。
失神は免れたが、これが完全にアルロフスキーのジョーをとらえダウン。アリスターが強烈なパウンドで攻め立てると、アルロフスキーが対処不能と判断したレフェリーがこれを制止。果敢に攻勢へ出たアルロフスキーだったが、アリスターの被弾は少なく、前サントス戦同様、これ、という攻撃機会をものにした。
勝利:アリスター・オーフレイム(2R TKO パウンド)
アリスターはJDSで戦術を最適化したように思える。インサイドの対処も無理をせず忍耐に粘りがまし、強烈な攻撃力は吟味した機会を投資する。爆発力のあった頃より、いよいよ厚みが増してきた印象だ。乱雑な局面やガス欠を好まないアリスターの特性を鑑みると、恐ろしいほど合理的で素晴らしい戦術に思える。ロジックの鬼グレッグ・ジャクソン率いるジャクソンズ−ウィンクの選手は、ほとんど毎回考えうる最高のパフォーマンスを見せてくれる。ここは今後も注目すべき点だろう。
この弱点をさらすリスクを最小限に抑えたジャクソンズ・アリスターだが、プレッシャーを武器とする相手以外はほとんど敵がいないほど仕上がってきたようにも見える。自分は前JDS戦は相性によるものが大きかったと考えるが、それ以上のものを着実に体得しているよう。これで今週UFC198で行われる「ヴェウドゥム VS ミオシッチ」王者防衛戦の勝者と戦うことが内定しただろう。
間違いなくヴェウドゥムのほうが相性がよさそうだが、今回は相性の決してよくない相手をはねのけたと評価したい。アリスターの挑戦する王者がどちらであろうと、期待は高まるばかり。
対するアルロフスキーだが、攻勢へ出た姿勢を全面的に支持したい。「やはりグラスジョー」かという意見をネットで見かけたが、そうでもなかったように思える。アリスターの左フックはバダ・ハリやJDSをKOしてきた強烈なパンチだし、失神はしていなかった。プレッシャーを掛ける戦術はいいが、得意のカウンターが生かせなかったのが少々悔やまれる。前に出る以上これを両立させるのは難しいが、押し引きの緩急でより高次元な駆け引きがなされていれば、どうだっただろう。前に出ている分には被弾のリスクが少なかったのだが、体力と、1Rにアリスターがカウンターでテイクダウンを取ったのも大きかったと思う。さらに、息の詰まるパンチの応酬から虚をついたアリスターの前蹴りを褒めるべきだろうか。
今回アルロフスキーから並々ならぬ気迫を感じたが、37歳を超えてなおタイトルの列に並びなおすこととなってしまった。負けられない両名の一人だけが勝ち上がれる勝負の世界、これを観戦することはなんとも贅沢だと感じる。本当に面白い一戦だった。
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この戦法だと攻撃を仕掛けたときに上手く対処された場合、手数の少なさで判定負けの恐れがありますが、アリスターは相手をよく見ているのか、勝負の嗅覚に優れているのか、確実に当てるんですよね。様子見の時の蹴りとかもあんまり外さないですし。チャンスを逃さないって結構すごいことだと思います。
アリスターはJDSとアルロフスキーという2人の強豪に勝利したことで、タイトルが見えてきただけでなく、自分のスタイルにも自信を持つことができたでしょう。タイトルマッチに向けて、より洗練させてくるのが楽しみです。
>この戦法だと攻撃を仕掛けたときに上手く対処された場合、手数の少なさで判定負けの恐れ
あー、これは考えられますね。ヴェラスケスなどスタミナがあって圧力の強い相手だとワンチャンスをものにしなければいけない場合きついかも知れません。
>相手をよく見ているのか、勝負の嗅覚に優れているのか、確実に当てる
>様子見の時の蹴りとかもあんまり外さない
>チャンスを逃さないって結構すごいこと
アリスター本当に落ち着きが出ましたよね。おっしゃるとおり、自信がかなりついてきたのが大きいと思います。しっかりガードをしながら、随所にテイクダウンを織り交ぜ優勢を印象つけられる点も大きいと思います。
>タイトルマッチに向けて、より洗練させてくるのが楽しみ
ヴェウドゥム、ミオシッチも楽しみですが、アリスターは著名度然り役者としても申し分がないですからね。10月くらいになりますかね。滞りなく正規の王者戦が実現することを待つのみです。
今回のアリスターの戦いぶりを見て思ったんですが、全然焦らないんですよね。ケージ際に詰められた時もガードの中からしっかりとアルロフを見据えていましたし、打撃恐怖症気味だった頃から格段に精神的成長をしているように感じます。ケージ際で亀になるのは自らのディフェンスが上手くないことを自覚しているからでしょうか。さらに相手をミドルやロー、ストレートにフック等の正統派な打撃で目を慣らした所の二段前蹴り。遂行したアリスターも流石ですが、この戦略を敷いたジャクソンズジム、改めて恐るべしです。
アルロフもかなり善戦したと思うのですが、いかんせんアリスターが良すぎました。相性はアルロフの方が有利と思っていたのですが、見事に予想をひっくり返されました。いや、予想が外れて悲しくもありアリスターが勝って嬉しくもありで複雑な心境です。
>序盤でケージ際に詰められ連打を食らった時
>その内完全に捉えられてKOされてしまうんだろうなと思った
自分も完全にそう思いました。^^; こういうシーンが今後も幾度か見られ、そのうちどれかでアルロフスキーが仕留めるなと。
>アルロフが詰めてきても組みつき膝で迎撃、さらにはTDを奪取するという試合巧者ぶり
>全然焦らない
>格段に精神的成長をしているよう
うまかったですねー、というかおっしゃる通りメンタル面で非常に太くなってきた印象です。殴られるのを受け入れてるというか。
>ケージ際で亀になるのは自らのディフェンスが上手くないことを自覚している
これも思いました。「できることを丁寧にしよう」という感じを受けるんですよね。しっかりガードしてしっかり凌ぐ、というか。丁寧な戦い方になりました。
>予想が外れて悲しくもありアリスターが勝って嬉しくもありで複雑な心境
我々の予想通りとなってもおかしくなかったと思いますよ。序盤の第一関門でアルロフスキーを乗り越えられるかどうかが山でしたが、見事に乗り越えてくれました。
予想もある程度当たっていましたし、アリスターが勝ってくれて自分は嬉しいです。
ただ、もし大きなベットをしていたらかなり落胆していましたね。苦笑