2016年04月17日
感想(前半) UFC on FOX 19 「テイシェイラ VS エヴァンス」大会
4月17日(日)に行われた、UFC on FOX 19 「テイシェイラ VS エヴァンス」大会の試合の感想(前半・第8試合まで)です。
後半(メイン)はこちら。
第8試合 フェザー級 5分3R
カブ・スワンソン VS ハクラン・ディアス
実績ではスワンソンが上だが、オッズはイーブン程度。勝ち上がってきた強豪ディアスを前に、スワンソンは連敗で評価を落としているか。ブルース・バッファーのコール時、肉食獣のように目を見開き大声で叫ぶスワンソン、迫力がある。 機動や打撃の速度はディアスがいいのだが、スワンソンは距離が良い。スワンソンはパンチのイメージの方が強かったが、今回はローが光る。元々キックもうまいのだろうが、インサイドでディアスのパンチが思ったよりいいことをほめるべきだろう。スワンソンの距離自体は良いのだが、ステップインはディアスが速く、1Rはここにスワンソンが多少手こずる。
2Rに入るとスワンソンの距離が最適化し、ディアスが打撃において徐々に厳しくなる。前のRからよかったスワンソンのローがよりタフにヒットし、ディアスのサイドステップの軌道をふさぐ。ついには、ローでダウンすら奪ってしまうスワンソン。今日のスワンソンは乗っている。
3Rも同様にローでダウンを奪うと上から攻め、立ち上がっても危なげのないスワンソンはハイキックでディアスの顔面を痛撃。仕留めるには至らずとも、3R終了時における両者のダメージや余力は明らか。
勝利:カブ・スワンソン(判定 3-0)
1Rはディアスのラウンドだったようだ。しかしスワンソンの距離が非常によかったので、インサイドの打撃が強くても効果的にプレッシャーを掛けないか相手を前に出させない限り、ディアスはテイクダウンはできない。スワンソンの距離はディアスにクリンチの機会を与えず、ディアスは打撃のみで戦うことを強いられてしまった。
それでもディアスは打撃で十分にスワンソンと戦い、高い総合力を見せている。が、勝たなければ意味がない。ディアスはタックルがないという点において、高い打撃力や高い寝技力のつなぎがスムーズにいかないようだ。
スワンソンは実力を再証明、特に感じられたのはエドガー並みに強力なテイクダウンか、ホロウェイ並みに素早くリーチの長い打撃がなければスワンソンは攻略できないという点。
第7試合 ライト級 5分3R
ベニール・ダリウシュ VS マイケル・キエサ
名伯楽ハファエル・コルデイロ仕込みの打撃が光るダリウシュ。パンチから対角線のローやオーバーハンドは多角度的かつ速度と威力が非常に良い。ライト級の中でも185cmと超大型のキエサだが、このリーチを以ってしても打撃ではダリウシュが上か。クリンチワークにおいても打撃や膂力でダリウシュ。これはダリウシュが安全圏を維持していく雰囲気。
しかし2Rにダリウシュがクリンチを仕掛けたところ、キエサが体を入れ替えあっけなくテイクダウンを取る。そのままバックを取ると、素早くチョークを仕掛ける。相手の肘を動かしディフェンスするダリウシュだが、立ち上がるダリウシュの背中におぶさり構わずチョークをトライ。顎の上からに見えるが、締め付けが蛇のように強力。ダリウシュがまさかのタップ。
キエサの能力を鑑みると、考えられるフィニッシュの中にこのシーンはあり得る。が、それにしてもまさかダリウシュを極めてしまうとは。ダリウシュは1Rのような展開が安全に続いていくという予想を疑わなかったので、開いた口がふさがらなかった。
勝利:マイケル・キエサ(2R リア・ネイキッド・チョーク)
〇 サンチアゴ・ポンジニビオ VS コート・マッギー ×
ウェルターにしては両者非常に大きい。ストライカーであるポンジニビオに対し、マッギーはタックルでテイクダウンを取りたいところ。ポンジニビオのフィジカルが良く、マッギーが倒せない。しかし、マッギーは1回のトライの失敗で焦ることはなく、タックルを布石しておきストレートを繰り出す。これがよくポンジニビオに当たり、ここでシェアを奪えばテイクダウンを奪うのも時間の問題だろうとの予感をさせる。その予感は裏切られ、いくらマッギーが打撃でシェアを奪い殴ろうと、ポンジニビオはプレッシャーを弱めず、タックルに対するディフェンスも気を抜かない。
ポンジニビオのようなストライカーが、ポイントを奪われながら削っていくという構図は、つい先ほどの第1試合(この記事では下部に感想あり)が思い出される。
そのまま徐々にマッギーがポンジニビオの打撃プレッシャーに対処のキャパシティをオーバー。1Rは終盤に差し掛かるところ、マッギーを殴りまくりレフェリーストップ。この試合もよかった! 今大会は現時点(第5試合)で既に、カードも内容も良い試合が多い。
〇 ジョン・ドッドソン VS マニー・ガンブリャン ×
ドッドソンがバンタムへ階級を戻す1戦目。オッズでは5倍ほどの差でドッドソンが人気だが、フライでも大きくなかったため、個人的にはガンブリャン相手はキツイと思っていた。しかし、打撃の交換ですぐにコンパクトな左ストレートをドッドソンが当てると、たたらを踏むガンブリャンを追い詰め、クリンチからパンチを連打。そのまま崩れ落ち、レフェリーがストップ。
ドッドソン、フライのスピードそのままにパワーはアップした印象。速すぎるフライ級ではパンチ力を持て余していたが、バンタムではこれが十分に火を噴きそうだ。
しかし、あんなに細かいクリンチパンチでよく相手を戦闘不能に追い込めると感心。パンチ力が異常に強い。
× オルワレ・バンブーシェ VS シザー・フェレイラ 〇
戦前、バンブーシェが打撃で圧倒すると予想したが、1Rにその機会がくる。しかし仕留めきれず、ここをしのいだフェレイラがあとはテイクダウンで勝り、余裕の展開。バンブーシェのガスはボンベが非常に小型のようで、残りのガスは寝技で下から対処するのに全て充ててしまった。反撃の余力なく、フェレイラが危なげなく中盤以降を支配。バンブーシェの底が割れてしまった。
× オマリ・アクメドフ VS エリゼウ・ザレスキ・ドス・サントス 〇
面白い試合。アクメドフがオールラウンダーでサントスは打撃+柔術という感じ。サントスはカポエイラ出身だそうだが、基本的にミドルキックなんかはキックボクシングのそれ。ただ、時折見せるスピンキックの重心や軌道はやはり綺麗。
展開としては、打撃のヒット率でもテイクダウンでもパワーの良いアクメドフが優位を維持しているが、終始サントスがプレッシャーを掛け続ける試合。パンチもテイクダウンも常にアクメドフが競り勝ちポイントを取っていくのに、アクメドフがみるみるうちに疲れていくのが見えた。殴るわけでもない、テイクダウンを取るわけでもない、ポイントにはならないが着実に消耗させ、水面下で逆転の準備をするというのはMMAではしばしばある展開。
こういう展開はストーリーがあり、判定では不利な分、非常に面白い。打撃はヒットさせること自体はアクメドフが上手かったのだろうが、サントスの距離がより長かったということだろう。でないとここで消耗はさせられない。さらに、アクメドフがテイクダウンした後のサントスの対処が非常に良い。相手と自分の体の間に足をねじ込むバタフライガードを駆使し、抑え込むためのスタミナを相手に効果的に使わせた。サントス自身はボトムから温存しながら相手を動かす感じ、そこから足を取ってトップを取り返したりと柔術も良い。ただし、スクランブル(揉み合い)でアクメドフなので、立たれてしまうのでポイントはやはり取れない。
結局消耗したアクメドフが打撃プレッシャーへの対処を維持できなくなった崩壊点をつくり、サントスがアクメドフをタコ殴り。レフェリーがストップ。
良い試合で、両者ともに気に入った。
この記事へのコメント
コメントを書く


