2016年03月21日
感想 マーク・ハント VS フランク・ミア UFC Fight Night 85
第12試合 ヘビー級
マーク・ハント VS フランク・ミア
勝者:マーク・ハント(1R KO)
予想:マーク・ハント
< 試合展開 >
・立ち上がり
両者ジャブの差し合い。距離が遠く、互いに被弾はなし。
ハントはワンツーやジャブから右のアッパーなどで、単発の強打を丁寧に当てていきたい思惑だろう。
対するミアは、ジャブなどの差し合いで打撃における主導権のシェアを少しでも奪い、スクランブルを仕掛けていきたい。
・最初に仕掛けるミア
開始30秒ほど。早速ミアが仕掛けたのはスクランブル。
以後の展開を考えると布石になるので、早い展開で仕掛けておくのは良いと思う。
しかし、ハントはこれを難なく回避。
(余談だが、これを見て自分はハントが勝つと確信し、この時点で大きく追加ベット)
・ハントの組み立て
以後、ハントが距離を丁寧に保ちながら、2発程度の強打を堅実に振るっていく。
ハントがこれほど丁寧に出ると、ミアはスクランブルのタイミングがシビアになる。
開始は三分に差し掛かろうとすると、ハントのステップインにスクランブルせんと頭を下げたミアに、ハントは強烈な右の打ちおろし。
・決着
これがテンプルにビッグ・ヒットし、ミアが崩れ落ちる。
十分な手ごたえを感じたか、追撃をせず悠々と踵を返すハント。
レフェリーはミアが地面を這いつくばる姿を見て、あえなくストップ。
< 感想 >
いやー、ハント最高だった。
ミオシッチに負けたあたりからめちゃくちゃ調子がいいようだ。
ガスの心配はまだあるだろうが、とにかく作戦が最適化されているように思う。
最少の動きで最大のパンチを打ち込むための動きに、より整合性が出てきた。
ミオシッチほど体力がありパンチとレスリングを持っている選手には、当然もう少し厳しくはなると思う。
あと、ステップインを大きくしなければならない高身長の選手にも同じことが言えるか。
しかし、ストライカーはプランBがないために、とにかくひとつの戦術を磨き上げていくしかない。
それにしても、あの打撃の精度と威力が過去最高に思える。何か掴んだかな。
ハントに大きく期待が持てた。
対するミアだが、今回は何もできなかったな。
ミアもすごく好きな選手なのだが、スクランブルさえできれば、という予想は多々あったように思う。
アルロフスキー戦以上にスクランブルを許されなかったのは、とにかく二撃目のハントの打撃の精度と圧力に尽きる。
もう少しダイナミックに動く必要があったかも知れない。
以下に分析。
< 分析 >
・ハントの距離 対スクランブルの打撃
ハントの打撃がオクタゴンにおいていよいよ最適化した印象を受ける。
まず、ジャブが丁寧でハントのディフェンスが良いので、遠い距離での差し合いが成熟してきた。
ここでカウンターを持つハントに対して、スクランブラーは迂闊に攻められない仕様となっている。
次に、ハントのジャブに続く第二弾の攻撃の脅威。
フック系の、防御態勢に戻るまで時間のかかる攻撃はあまり見せない。
真っ直ぐストレートを出すことにより、かなり隙が少ない。
最初に見せたジャブからの右アッパーなども、素晴らしい。
威力は申し分がないし、右アッパーはスクランブルでハントに対抗しようとする相手の頭が下がる軌道上を通る。
これらの攻撃は、スクランブルフェイズのリスクを十分に避けることを可能としている。
さらに有効な強打を打ち込める効率の良い攻撃。
・フィニッシュ 右の打ちおろし
まるでスクランブラーの下がる頭をホーミングするように、打ち下ろしている。
おそらく相手をよく見て集中しながら、打撃とスクランブルへの反応を同時に解釈しながら動いているかのよう。
ハントは昔から打撃の精度は非凡なものがあった。
MMAにおいてストライカーの打撃精度は必須だが、この右はただのクリンチでは対抗できないだろう。
・ハントへの対抗策 ミアが取るべきだった作戦
ストライカーへは、やはりタックルなどでスクランブルへ持ち込むことがとにかく最低条件。
ただ、ここでハントの打撃に隙がなさすぎる。
そこで、ハントの打撃に隙を生じさせる必要がある。
とにかくストライカーがタックルに反応できないように、積極的に動きをコントロールしなければならない。
コンパクトにしか動けないストライカーと違い、スクランブラーはダイナミックに動ける。
そこで、オーバーハンドなんかは良いと思う。威力も良いし、相手の上体が起きやすく、姿勢もタックルに似ていてフェイントや布石となる。
さらに、カウンターのタックルを決めたいなら、ハントのステップインをもう少し大胆にさせる必要がある。
大きくステップインする場合、タックルへの反応は困難になるため。
川尻などが行うように、大げさにサークリングし、威力がよくトリッキーな打撃を散らすのが良い。
ストライカーはタックルを警戒しているので、タックルを警戒しないでいいスクランブラーは、この打撃においてストライカーよりもダイナミックに動けるのは利点。
ここは生かすべきだろう。
ストライカーはステップインを迂闊にできなくなるし、大きくステップインしなければ相手を捕まえられなくなるため。
ここにスクランブルをぶち込んでやるのが良いだろう。
それでもハントはアッパーやカウンターで対抗するだろうが、やはりこちらの方が幾分か分が良い。
このようにアクションの成功率を上げるような行動を積み重ねるべきだろう。
余談だが、こういうロジックはジャクソンズが本当にうまい。
余談を重ねるが、現王者ファブリシオがハントに1R打撃でボコボコにされて行った策は、スクランブルを幾度か布石したのちに、しゃがんでタックルをフェイントしたあとの飛び膝蹴り。
こういう大胆なムーブがスクランブラーには本当に大事だと思う。



勝負を決めた右の打ち下ろしは、ミアが何度か仕掛けていたハントの打撃を掻い潜ってスクランブルを狙う動きに試合中にアジャストしたものかと。しかしまぁ音と共にミアの首がグニャリと曲り、首の骨がおかしくなったのかと一瞬思う程です。天性のセンスと経験が合わさった素晴らしい一撃でした。
ミアはもう少し蹴りや膝が出せれば良かったと思います。ハントの前進に対して膝で迎撃できれば牽制にもなりますし、距離を取っての蹴りもグラウンドでの技術が勝っている以上TDされたりカウンターを合わされるリスクが少ないからです。今回はハントが良すぎたので、機動を増して攪乱しつつ、膝や蹴りを出したとしても厳しかったとは思いますが。
さて、二連勝で勢いに乗るハントですが、有力なランカーは殆どが試合決定済みというこの状況。通常体重を落として減量も苦では無いようですし、誰かの欠場に合わせて代役出場という流れも十分にあると思います。なんにせよ、今が全盛期のハントの次戦が楽しみです。
>もうすぐ42になるというのに試合毎に成長が見られる
改めて年齢聞くと脅威的ですね。笑。
サモアンは本当に戦闘能力の高い人種だと感じます。
あれだけ激しい打ち合いをしてきて脳へのダメージや消耗が感じられないことも稀なことです。
>右の打ち下ろし
>スクランブルを狙う動きに試合中にアジャストしたもの
ハントは試合中本当に相手のことよく見てますね。
強いハートを持っているので、試合中冷静でいられるのでしょう。
>ミアはもう少し蹴りや膝が出せれば
そうですね、ハントに蹴り足をキャッチしてテイクダウンされてもリスクではないですから、より多彩に動くべきでした。
対策不足という印象がありますね。
>有力なランカーは殆どが試合決定済み
そろそろヴェラスケスかアルロフスキーあたりとやってほしいんですが、確かに試合未決定のめぼしい相手いないですね。
時期的に言うとサントスとロスウェルの勝者あたりか、ヴェウドゥムが勝ったらリマッチしてほしいです。