「ドス・アンジョス VS マクレガー」 3 / 5(sut)2016
< 勝敗予想 >
ライト級 チャンピオン・シップ 5分5R
「(2.080)ハファエル・ドス・アンジョス VS コナー・マクレガー(1.826)」(1/25 現オッズ @ピナクル)
1.背景、注目点
パウンド・フォー・パウンド。
全ての選手が同じ体重だとしたら、誰が一番強いのか。
世界一の選手を仮説するための概念だ。
10年間、フェザー級においてその牙城に近づけたものはほんの僅かである。
それも数分間に満たない時間であり、1試合を通して彼の約束された勝利を脅かしたものはいない。
ジョゼ・アルドは長い期間、MMA界における全選手の中の頂点に君臨していた。
世界中のあらゆるファイターが、自らの拳を弾丸のように鍛え上げ、自らをも砲台に乗り込み、タックルという大砲を携え、その二つの武器を駆使し、襲い掛かった。
そのすべてのファイターの拳をより強固な拳で迎撃し、タックルの発射台となる足をロケットのようなキックで粉砕してきたジョゼ・アルド。
1ヶ月と少し前、そのパウンド・フォー・パウンドは、生まれて初めてオクタゴンに仰向けに寝そべり、ハンマーフィストが自己の顔面に落とされるのを眺めていた。
闘いが始まって10秒ほどの出来事だった。
コナー・マクレガーは、相手の超速の接近と左フックに対し、後の先を取る居合切りで最強王者の意識ごと切り落とした。
刀を抜いた自らの左腕は、文字通り折れている。
コンマ数秒の瞬間、それほど強烈に殴った。
手首の折れた左手で虫の息を止めると、涼しい顔で金網を駆け上がり、観客の緩慢な解釈を手助けする。
コナー・マクレガーは常に、少しばかり速すぎる。
チャド・メンデス戦で見せた涙はどのように解釈できるだろうか。
試合直前の膝の故障、また相性最悪レスラー、それらからの解放によるものだったのだろうか。
暫定とはいえ、はじめて戴冠への感激か。
かの暫定王者戦で、彼の底は割れていると言い切れるだろうか?
そうだとしたら、パウンド・フォー・パウンドから13秒で評価をそっくり奪ってしまったあのパフォーマンスは、相性によるものなのか、それとも元王者の言うとおりの事故なのか?
それとも、自ら不用意に歩み寄るアグレッシブなファイトと対照的、例のわずかな時間に片鱗を見せた「パッシブなファイト」をまだ隠しているのだろうか。
彼は、諸々を証明・解釈する暇もなく、3ヶ月以内に1階級上の王者に挑戦するのだという。
やはり、我々が評価するにはコナー・マクレガーは速すぎる。
マクレガーの元の鞘、ボクシング界においても、強い=速いは常に証明されてきた。
シュガー・レイ・ロビンソン、モハメド・アリ、シュガー・レイ・レナード、マイク・タイソン、ロイ・ジョーンズ、フロイド・メイウェザー、マニー・パッキャオ。
全ての選手が高速エンジンを積んでいる。
運動量 = 質量 × 速度
以上の式からも、同じ階級同士で戦うファイターの速度がいかに重要か分かる。
パンチを避けるも当てるも、速度以上のプライオリティはどれほど重要だとしてもそれ以上とは言えない。
しかしMMAは違う。「速いは強い」確かにそうだが、もう少しシビアだ。
いかに速くとも、ここでは「組、即、死」が成り立つ場合がしばしばある。
打撃戦において、分が悪い局面でクリンチする。MMAにおいてはこれはリセットという概念にはならない。
攻防は連続している。スクランブルがはじまるのだ。
ライト級王者ハファエル・ドス・アンジョスは、そもそも打撃戦で負けない。
一撃一撃が強烈で、速度と精度が高い。
その上、スクランブルでも負けない。膂力が非常に強いし、密着状態においてもタフな打撃とテイクダウンを持っている。
さらに、寝技でも負けない。彼のキャリアは柔術からはじまっており、グラウンドはアンジョスの土俵と言っても過言ではない。
この事実は、ハファエル・ドス・アンジョスが極めて完成度の高いオールラウンダーであることを意味する。
いや、言いなおそう。
ハファエル・ドス・アンジョスは、MMA史上、最もレベルの高いオールラウンダーと言える。
今までにオールラウンダーを謳われたファイターは多くない。
桜庭和志、エメリヤーエンコ・ヒョードル、B.J.ペン、ジョルジュ・サンピエール、デメトリアス・ジョンソン、クリス・ワイドマンetc。
どの選手も「負けない」という盤石な印象を持っている。
打撃で負ければ組めば良い、組みで負ければ極めれば良い、寝で負ければ殴れば良い。
最もレベルの高いオールラウンダーとは、理論上、最強の選手と言える。
――――フェザー級王者、史上最高峰のストライカー、''ノトーリアス''コナー・マクレガーか
ライト級王者、史上最高峰のオールラウンダー、''クール・バット・ルード''ハファエル・ドス・アンジョスか――――
2016年3月5日、ラスベガスにて大激突。
注目点は、
・最強のオールラウンダー VS 最強のストライカー
・マクレガーのファイト・スタイルについて
・アンジョスのストライカー対策
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2.基本情報
1)ハファエル・ドス・アンジョス(キングスMMA)
タイプ:中距離型オールラウンダー。サウスポー
25勝 : 5 KO、 8 SUB、 12 DEC
7敗 : 1 KO、 1 SUB、 5 DEC
史上最高峰のオールラウンダー。
2012年から4年間の中で11戦し、敗けは一つ、2014年のハビブ・ヌルマゴメドフ戦のみ。
ベンソン・ヘンダーソンの時は3倍強のオッズ、アンソニー・ペティスに挑戦するときは5倍弱のオッズを勝ち抜いてきた。
オールラウンダーの条件は、第一にスクランブラーであること。
打撃の機会を得るために必要なのは、組み or 距離。(次に寝技)
組みの機会を得るために必要なのは、打撃 or (打撃)防御。
寝技の機会を得るために必要なのは、組み。
実際に試合を終わらせる攻撃は、打撃か寝技(投げは非常にまれ)。
しかし、その機会を奪取、維持するために組みが必須という構造になっている。
前述のヌルマゴメドフ戦より前の敗戦は、対グレイゾン・チバウ(2011年)、対クレイ・ギーダ(2010年)となる。
それ以前の負けは参考しないが、直近三つの敗戦はすべてスクランブラー。
逆説すると、スクランブラー以外にはただの一人にも負けていない。
スクランブルにおいて競り負けることで、アンジョスの優れた打撃と寝技を行使する機会が奪われてきたことが伺える。
しかしヌルマゴメドフ戦後、ベン・ヘンダーソンつまり強いスクランブラーにも勝っており、アンソニー・ペティスに対しても5Rを通してテイクダウンを奪い続けた。
そもそも一朝一夕でオールラウンダーが出来上がることはない。
ヌルマゴメドフとの敗戦から2年、今でもスクランブルで劣ると明確に言えるものがいるだろうか。
今回の試合、コナー・マクレガーはスクランブルを持っていない。
マクレガーの悪魔の打撃も、距離さえ潰せばその機能は死ぬ。
その距離はアンジョスより少々長いが、アンジョスは打撃戦を含め相手を恐れたことすらない。
完成形となったハファエル・ドス・アンジョスに死角なし。
2)コナー・マクレガー(SBG・アイルランド)
タイプ:中長距離型ストライカー。サウスポー
19勝 : 17 KO、 1 SUB、 1 DEC
2敗 : 2 SUB
必殺の左ストレートを備えたストライカー。
「打・組・寝」
現代のファイターは少なくとも2つのフェイズにおいて武器を持っている。
そうでないと戦えないからだ。
コナー・マクレガーは1つのフェイズしか持っていない。
しかし、その打撃技術は特に突出しており、フェザー級における10年間無敗の最強王者であり、パウンド・フォー・パウンドを謳われたジョゼ・アルドをも、その打撃で屠っている。
アルド自身ストライカーであり、打撃力でトップレスラーたちを鉄壁のファイトで撃破してきた王者だ。
マクレガーはその王者に対し、13秒で差を見せつけた。
打撃においては異次元にいる。
スクランブルを交えた闘いでストライカーが不利なのは明白で、事実メンデス戦ではマクレガーが攻撃の機会が奪われた。
しかし、アルドには攻撃の機会すら与えていない。
試合自体は非常に短い時間だったが、これを可能とした理由は2つ考えられる。
1)アルドは打撃&スクランブルの連携戦術に不慣れであった
2)マクレガーがパッシブなファイトをした(アグレッシブの逆、先を取るより、相手のアクションに反応するファイト)
まず1)について。
アルドはスクランブルに対して常にディフェンシブなファイトをしてきた。
アルドの打撃はスクランブルとの連携が弱く、打撃の攻撃と防御のメリハリがはっきりしている。
打撃攻撃は打撃攻撃、打撃防御は打撃防御。打撃防御で攻撃を兼ねるタックルやスクランブルを選択するスタイル、そのスペシャリストではなかった可能性がある。
その点、アンジョスの連携はペティス戦で証明した通り。
次に、2)について。
マクレガーはメンデス戦で開始早々から明らかに不用意な前進を見せている。短い時間だったが、アルド戦では見せていない。
ここの仮説は、メンデス戦において(1)緊張していた (2)余裕で勝てる (3)膝の怪我の影響
理由はどうあれ、メンデス戦は距離を詰めるファイト、アルド戦では距離を維持するファイトだったと評価している。
マクレガーのこのパッシブなファイトは、MMAにおいてストライカーの新しい可能性を感じさせられる。
いまストライカーがスクランブルの脅威と戦うことを考える。
スクランブラーはストライカーの打撃をあの手この手で封殺する。
打撃に対しては距離を取るかタックルを選択、テイクダウンディフェンスに対しては打撃し、ストライカーをコントロールするのが望ましい。
このスクランブラーの動きに対して、
・サイドステップ
・カウンター
この二つが非常に重要になる。サークリングはスクランブラーのタックルと打撃の両方に対応できる。
カウンターは相手の打撃を抑止するので、スクランブルとの連携を殺す効果がある。
ストライカーは、スクランブラーの打撃をそもそも出させてはいけない。空振りでも動かされると、スクランブルとの連携を生むからだ。
アンデウソン・シウバはカウンターで連携を封殺していた。カウンターは相手の打撃に対し抑止力が働く。
ストライカーにとって最も求められる打撃の質は、とにかく精度だろう。
ただし、シウバもワイドマンにリーチの長い打撃で肉薄され、タックルとの連携を許している。
ここからスクランブラーにとって「手を出す=被弾」、という構図をいかに作れるかがストライカーの肝。
優れたストライカーが、勝つときに圧倒的に勝ち、負けるときにあっけなく負けるのはその為だろう。
ストライカーというのは、相手に手も足も出させず、圧倒的有利を維持しなければならないということ。
マクレガーが、この極めて高いレベルの打撃を以ってパッシブなファイトをした場合、これを実現する可能性は十分に考えられる。
アンデウソン・シウバが克服できなかった、自己のリーチに匹敵するリーチを持つ相手。
ここをマクレガーが乗り越えた場合、ほとんど敵はいなくなる。おそらく、レスラーだとしても触ることすら許されぬファイターとなるだろう。
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3.戦術予想
先に記したように、マクレガーは「パッシブなファイト」を見せるはず。
闘牛士のようにサイドステップで前進をかわしまくる戦術を予想します。
メンデス戦で見せたように不用意に前進するファイトは、アンジョス相手にあり得ないと思います。
距離を取り、先を取るのはジャブや牽制レベルの打撃、相手が出てきたところにカウンターを狙うのではないでしょうか。
アンジョスもサウスポーなので、左ストレートの価値が少し下がります。
こういう紙一重が大事になる勝負において、マクレガーの左の価値が下がるのはかなり痛いです。
長い距離では、ロー以上の蹴りもスクランブラーに出すのは得策ではないと思います。奇襲策として有効に使うべきではあります。
もしかしたら、マクレガーの右フックが見られるかも知れません。
対するアンジョスは、ローキックと右ミドルで攻めるかと思います。マクレガーはローをあまり見せず、リーチでもあまりハンディがないため、十分にローは蹴ることができるでしょう。
アンジョスの強力な右のミドルは、マクレガーの左を抑止できます。
スクランブルと打撃については打撃の布石をかなり慎重にすべきで、マクレガーレベルのストライカーに強打を布石しようとすると、アルドがされたようにカウンターが待っています。
ただし、思い切りが悪く委縮していてはジリ貧になるのも事実。そこらへんのメンタルはアンジョスは強いとは思います。
おそらくアンジョスも打撃はローやジャブ以上は牽制が多く、強烈なプレッシャーを掛けてくるでしょう。
スクランブル含め、前に出るタイミングが生命線となります。
---------------------------
4.展開予想、注目点
1)テイクダウンの可能性について
マクレガーのテイクダウンはないでしょう。アンジョス側のみに言及します。
「ペティスをテイクダウンしたからマクレガーもテイクダウンできる」
そうは問屋が卸さないと思います。
キッカーよりストレートを持っている相手の方が距離を詰めるのは怖いと思います。
サイドステップからの反撃もボクシング、特にストレートの方がスムーズですし。
ここはアンジョスがサウスポーなのが幸いだと思います。先にも書きましたが、ストレートの脅威が幾分落ちますので。
強烈なプレッシャーで闘牛士マクレガーを動かしまくり、その中でタイミングを精査し、アンジョスはマクレガーをテイクダウンすると思います。
さらにテイクダウン以降の展開は、マクレガーにとってメンデスよりかなりタフになります。
マクレガーがどれほどの体を作ってくるかにもよりますが、フェザーの防衛もありますし、やはりアンジョスは上の階級の選手なので。
一回のテイクダウンで決着するに至らずとも、かなり削ることができるはずです。
2)ストライキングの優位はどちらか
ピュア・ストライキングではさすがにマクレガーですが、スクランブルの脅威と戦う限り、マクレガーのストライキングは委縮せざるを得ません。
スクランブルに加え、強力なローやミドルを有するアンジョスに対し、マクレガーの武器の不足は如何ともし難い面があります。
メンデス戦で見せたボディキックはスクランブラーには有効でしょうが、タイミングが悪ければキャッチされるリスクがあります。
ただし、マクレガーの打撃力はアルド戦メンデス戦で見せたように、極めて短いスタンディング・フェイズの時間で相手をKOしています。
長身のストライカー、マックス・ホロウェイは仕留めきれませんでしたが、それでも19勝17KO、判定はホロウェイ戦のみ。
アンジョスがスタンディングで手間を取るほど、マクレガーにKOされるリスクが蓄積していきます。
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5.まとめ
とにかくマクレガーに未知の部分が多いです。
負けるならあっさりという感じがしますが、勝つのもあっさりという感じもします。
事実これまでの試合がほとんどそうでした。
今までのセオリーから言うとアンジョスが有利なのは疑えないのですが、マクレガーがことごとく常識を上回るストライキングを見せてきたという実績があります。
マクレガーの「パッシブなファイト」を見る時間がアルド戦で短すぎます。
ここで数ラウンドを見せてくれればある程度底も見えてくるのですが、なんせ13秒です。
自分はアルドが不用意だったとは思いません、いつも通り飛び込んだアルドに対し、マクレガーの反応が上回ったという評価です。
先に書いたように、アルドがスクランブルとの連携が不十分だったというのが実力や相性なのでしょう。
いつもこの「まとめ」の項においては勝者を明言し予想しなければならないのですが、今回はとりあえずと書いておきましょう。
自分の予想は
ハファエル・ドス・アンジョスの勝利
です。
最強のオールラウンダーとは即ち最強のMMAファイターであることを意味します。
最強のオールラウンダーが最強のストライカーに負けるとなれば、これは革命です。
マクレガーが革命を起こすかどうか、みなさんはどう思われるでしょうか?
自分は、とにかく彼から目が離せません。
そうでないと戦えないからだ。
コナー・マクレガーは1つのフェイズしか持っていない。
しかし、その打撃技術は特に突出しており、フェザー級における10年間無敗の最強王者であり、パウンド・フォー・パウンドを謳われたジョゼ・アルドをも、その打撃で屠っている。
アルド自身ストライカーであり、打撃力でトップレスラーたちを鉄壁のファイトで撃破してきた王者だ。
マクレガーはその王者に対し、13秒で差を見せつけた。
打撃においては異次元にいる。
スクランブルを交えた闘いでストライカーが不利なのは明白で、事実メンデス戦ではマクレガーが攻撃の機会が奪われた。
しかし、アルドには攻撃の機会すら与えていない。
試合自体は非常に短い時間だったが、これを可能とした理由は2つ考えられる。
1)アルドは打撃&スクランブルの連携戦術に不慣れであった
2)マクレガーがパッシブなファイトをした(アグレッシブの逆、先を取るより、相手のアクションに反応するファイト)
まず1)について。
アルドはスクランブルに対して常にディフェンシブなファイトをしてきた。
アルドの打撃はスクランブルとの連携が弱く、打撃の攻撃と防御のメリハリがはっきりしている。
打撃攻撃は打撃攻撃、打撃防御は打撃防御。打撃防御で攻撃を兼ねるタックルやスクランブルを選択するスタイル、そのスペシャリストではなかった可能性がある。
その点、アンジョスの連携はペティス戦で証明した通り。
次に、2)について。
マクレガーはメンデス戦で開始早々から明らかに不用意な前進を見せている。短い時間だったが、アルド戦では見せていない。
ここの仮説は、メンデス戦において(1)緊張していた (2)余裕で勝てる (3)膝の怪我の影響
理由はどうあれ、メンデス戦は距離を詰めるファイト、アルド戦では距離を維持するファイトだったと評価している。
マクレガーのこのパッシブなファイトは、MMAにおいてストライカーの新しい可能性を感じさせられる。
いまストライカーがスクランブルの脅威と戦うことを考える。
スクランブラーはストライカーの打撃をあの手この手で封殺する。
打撃に対しては距離を取るかタックルを選択、テイクダウンディフェンスに対しては打撃し、ストライカーをコントロールするのが望ましい。
このスクランブラーの動きに対して、
・サイドステップ
・カウンター
この二つが非常に重要になる。サークリングはスクランブラーのタックルと打撃の両方に対応できる。
カウンターは相手の打撃を抑止するので、スクランブルとの連携を殺す効果がある。
ストライカーは、スクランブラーの打撃をそもそも出させてはいけない。空振りでも動かされると、スクランブルとの連携を生むからだ。
アンデウソン・シウバはカウンターで連携を封殺していた。カウンターは相手の打撃に対し抑止力が働く。
ストライカーにとって最も求められる打撃の質は、とにかく精度だろう。
ただし、シウバもワイドマンにリーチの長い打撃で肉薄され、タックルとの連携を許している。
ここからスクランブラーにとって「手を出す=被弾」、という構図をいかに作れるかがストライカーの肝。
優れたストライカーが、勝つときに圧倒的に勝ち、負けるときにあっけなく負けるのはその為だろう。
ストライカーというのは、相手に手も足も出させず、圧倒的有利を維持しなければならないということ。
マクレガーが、この極めて高いレベルの打撃を以ってパッシブなファイトをした場合、これを実現する可能性は十分に考えられる。
アンデウソン・シウバが克服できなかった、自己のリーチに匹敵するリーチを持つ相手。
ここをマクレガーが乗り越えた場合、ほとんど敵はいなくなる。おそらく、レスラーだとしても触ることすら許されぬファイターとなるだろう。
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3.戦術予想
先に記したように、マクレガーは「パッシブなファイト」を見せるはず。
闘牛士のようにサイドステップで前進をかわしまくる戦術を予想します。
メンデス戦で見せたように不用意に前進するファイトは、アンジョス相手にあり得ないと思います。
距離を取り、先を取るのはジャブや牽制レベルの打撃、相手が出てきたところにカウンターを狙うのではないでしょうか。
アンジョスもサウスポーなので、左ストレートの価値が少し下がります。
こういう紙一重が大事になる勝負において、マクレガーの左の価値が下がるのはかなり痛いです。
長い距離では、ロー以上の蹴りもスクランブラーに出すのは得策ではないと思います。奇襲策として有効に使うべきではあります。
もしかしたら、マクレガーの右フックが見られるかも知れません。
対するアンジョスは、ローキックと右ミドルで攻めるかと思います。マクレガーはローをあまり見せず、リーチでもあまりハンディがないため、十分にローは蹴ることができるでしょう。
アンジョスの強力な右のミドルは、マクレガーの左を抑止できます。
スクランブルと打撃については打撃の布石をかなり慎重にすべきで、マクレガーレベルのストライカーに強打を布石しようとすると、アルドがされたようにカウンターが待っています。
ただし、思い切りが悪く委縮していてはジリ貧になるのも事実。そこらへんのメンタルはアンジョスは強いとは思います。
おそらくアンジョスも打撃はローやジャブ以上は牽制が多く、強烈なプレッシャーを掛けてくるでしょう。
スクランブル含め、前に出るタイミングが生命線となります。
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4.展開予想、注目点
1)テイクダウンの可能性について
マクレガーのテイクダウンはないでしょう。アンジョス側のみに言及します。
「ペティスをテイクダウンしたからマクレガーもテイクダウンできる」
そうは問屋が卸さないと思います。
キッカーよりストレートを持っている相手の方が距離を詰めるのは怖いと思います。
サイドステップからの反撃もボクシング、特にストレートの方がスムーズですし。
ここはアンジョスがサウスポーなのが幸いだと思います。先にも書きましたが、ストレートの脅威が幾分落ちますので。
強烈なプレッシャーで闘牛士マクレガーを動かしまくり、その中でタイミングを精査し、アンジョスはマクレガーをテイクダウンすると思います。
さらにテイクダウン以降の展開は、マクレガーにとってメンデスよりかなりタフになります。
マクレガーがどれほどの体を作ってくるかにもよりますが、フェザーの防衛もありますし、やはりアンジョスは上の階級の選手なので。
一回のテイクダウンで決着するに至らずとも、かなり削ることができるはずです。
2)ストライキングの優位はどちらか
ピュア・ストライキングではさすがにマクレガーですが、スクランブルの脅威と戦う限り、マクレガーのストライキングは委縮せざるを得ません。
スクランブルに加え、強力なローやミドルを有するアンジョスに対し、マクレガーの武器の不足は如何ともし難い面があります。
メンデス戦で見せたボディキックはスクランブラーには有効でしょうが、タイミングが悪ければキャッチされるリスクがあります。
ただし、マクレガーの打撃力はアルド戦メンデス戦で見せたように、極めて短いスタンディング・フェイズの時間で相手をKOしています。
長身のストライカー、マックス・ホロウェイは仕留めきれませんでしたが、それでも19勝17KO、判定はホロウェイ戦のみ。
アンジョスがスタンディングで手間を取るほど、マクレガーにKOされるリスクが蓄積していきます。
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5.まとめ
とにかくマクレガーに未知の部分が多いです。
負けるならあっさりという感じがしますが、勝つのもあっさりという感じもします。
事実これまでの試合がほとんどそうでした。
今までのセオリーから言うとアンジョスが有利なのは疑えないのですが、マクレガーがことごとく常識を上回るストライキングを見せてきたという実績があります。
マクレガーの「パッシブなファイト」を見る時間がアルド戦で短すぎます。
ここで数ラウンドを見せてくれればある程度底も見えてくるのですが、なんせ13秒です。
自分はアルドが不用意だったとは思いません、いつも通り飛び込んだアルドに対し、マクレガーの反応が上回ったという評価です。
先に書いたように、アルドがスクランブルとの連携が不十分だったというのが実力や相性なのでしょう。
いつもこの「まとめ」の項においては勝者を明言し予想しなければならないのですが、今回はとりあえずと書いておきましょう。
自分の予想は
ハファエル・ドス・アンジョスの勝利
です。
最強のオールラウンダーとは即ち最強のMMAファイターであることを意味します。
最強のオールラウンダーが最強のストライカーに負けるとなれば、これは革命です。
マクレガーが革命を起こすかどうか、みなさんはどう思われるでしょうか?
自分は、とにかく彼から目が離せません。



自分はやはり勝敗云々というよりもおっしゃる通りマクレガーは速すぎるという感慨が強いですね
予想するなら常識に従いRDAかとは思います
コメントありがとうございます。
自分もマクレガーが本当に好きで、期待が捨てきれません。ベットの時には予想が変わっているかも知れないです 笑
コメントありがとうございます。
このマクレガーの展開の速さって、メンタルのクレイジーさを感じさせるんですよね。
まともなメンタルじゃマクレガーに追いつけないというか。
アンジョスにとっても我々にとっても何か予想外なことを見せてくれそうですね!